アフリカゾウの赤ちゃんはお母さんのおなかの中でかなり発達してから生まれるので、誕生時すでに120キロもあり、生まれてすぐに群れと一緒に行動することができます。
赤ちゃんが生まれると同じ群れのゾウは新しい仲間と認識し、母親と一緒に子供を守ります。人間と同じように、大人の集団の中で行動を学び、社会性を身につけていくのです。
動物園などの施設で育ったゾウの寿命は約20年ほどですが、野生のゾウは60~70年と人間と同じような長い寿命を持っています。
アフリカゾウは順応性が高いのでサバンナだけでなく森や砂漠でも生活でき、広い範囲を動き回って食べ物を探します。ゾウはとても大食いなので、訪れた地域の環境への影響が大きく、もう一度その地域にゾウが訪れるまでの回復期間が必要になります。
かつてはゾウの行動範囲が広かったので問題なかったのですが、人間の生活範囲の拡大や密猟の影響で、いまやゾウが安心して暮らせるのは人間によって守られた保護区の中だけになっています。
保護区同士で協力してゾウの行動範囲を広げる取り組みはありますが、エリア拡大は密猟のリスクを高めることにもなり、さらなるチャレンジになります。
アフリカゾウはとてもインテリな動物で、その知能は霊長類やイルカと比較されるほどです。人間のような感情もあり、怒りや悲しみを感じたり、ヤキモチを焼いたり家族の心配をしたりします。
記憶力が優れているうえに個体識別能力もあるので、近づいてくるゾウを敵か仲間か見極めたり、群れの中のどのゾウにならこどもを預けても大丈夫か判断することだってできるのです。
彼らがゾウの死体に遭遇したときに死を悲しむような行動をとるのも、そのゾウが誰なのかわかっているからではないかと言われています。
アフリカゾウの牙は2歳くらいのときに生えそろい、その後生え変わったりはしません。事故で折れたりしないかぎり、生涯同じ2本の牙を持つのです。
牙は植物の根を掘ったり木の皮を剥いだりするために使います。
日常的に使うので、大人のゾウの牙を見ると、曲がり具合で右利きか左利きか見分けることができます。
ゾウにとって牙は、生活のための大切な道具なのです。
1930年ごろ、アフリカ大陸にはおよそ500~1,000万頭のアフリカゾウが生息していました。しかし2013年現在はその1%以下、およそ45万頭しか残っていません。
密猟が危機的なペースで増えていて、アフリカゾウの出生率よりも密猟率のほうが高くなってしまっているのです。現在アフリカ大陸では、年間通して約1割のアフリカゾウが密猟の犠牲になっています。
このままのペースで密猟が続けば、今後10~20年の間にアフリカゾウが絶滅してしまうのではないかといわれています。
いま、象牙を狙われ、15分に1頭のアフリカゾウが殺されています。
このままではあと10年でアフリカゾウがいなくなるとも言われています。
10年後もアフリカゾウのいる世界を
実現するために、
取り組まなければならない課題があります。